1–3 YEARS · シーンと言説の潮流ラテン・テイクオーバー国境なきヒット
ヒットの言語と出身地を分けて読む
米国音楽配信で英語の比率が低下、スペイン語は9.5%に
2026年6月下旬、Luminateの分析が示したのは、米国の音楽配信で英語以外の楽曲が存在感を増す動きだった。スペイン語の伸長に加え、ラテン音楽を日常的に聴く層も拡大している。ただし、歌詞の言語、ジャンル、アーティストの出身地は別の指標だ。その違いから、米国市場の開かれ方を読む。

英語以外が、例外ではなくなる兆し
米国で聴かれる音楽の言語構成が、少しずつ変わっている。Luminateが2026年6月23日に公表した分析によると、同年第1四半期の米国オンデマンド音声配信に占める英語楽曲の割合は86%。前年同期の88.1%から低下した。これは英語曲の再生数そのものが減ったという意味ではない。市場全体に占める比率の変化である。
一方、スペイン語楽曲は9.5%を占めた。音声配信のおよそ10回に1回に近い水準だ。2025年通年の8.9%を上回るが、こちらは前年同期との比較ではない。期間の違いを残して読んでも、英語以外の楽曲が米国の聴取の一角を広く占めていることは見て取れる。
その中心にいるのがバッド・バニーバッド・バニー Bad BunnySpotify で探すApple Musicだ。Luminateは第1四半期までの米国総合アーティスト順位で彼を2位とし、プエルトリコ出身者の再生シェアを押し上げたと説明する。ただし、今回の兆しはスター個人の成功だけではない。ラテン音楽に触れる聴き手の裾野も広がっている。
週間記録と、聴き手の裾野
Luminateによれば、バッド・バニーバッド・バニー Bad BunnySpotify で探すApple MusicのスーパーボウルのハーフタイムショーハーフタイムショーHalftime showスポーツの試合の前半と後半の間に行う音楽やダンスなどの公演。競技の休憩時間を使うため、通常のコンサートとは異なる時間や進行の制約を受ける。用語集で詳しく出演は、2月12日までの週にラテン音楽の米国オーディオストリームオーディオストリームAudio streams音声配信サービスで楽曲が再生された回数を指す。同じ人の繰り返し再生も含むため、聴き手の人数や支持の広がりとは区別して読む必要がある。用語集で詳しくを27億4,000万回へ押し上げる一因となった。同社が過去最高とする週間記録である。大規模な露出が、ジャンル全体の聴取につながったという説明だ。
もう一つの数字は、消費者調査にある。ラテン音楽を月に気軽に聴く人の割合は、2024年初めの41%から2026年第1四半期には56%へ上昇した。特定の週に集中する再生と、普段の選択肢に入ること。その両方を示す材料がある。ただし、この調査は熱心なファンの比率や、有料サービスの契約率を示すものではない。
背景についてLuminateは、ストリーミングストリーミングMusic streamingネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。用語集で詳しくの仕組みが、言語に左右されず音楽を発見することを可能にしたと論じる。従来の米国市場では、国外のアーティストが商業的成功を得るために英語で歌うことや、西洋的な様式を採ることが求められてきたという。同社の見立ては、聴き手との接点をつくる条件が変わりつつある、というものだ。
広がりは、ラテン音楽の外にも
韓国語楽曲も第1四半期に1.1%のシェアを保ち、BTSBTSSpotify で探すApple Musicなどが支えた。さらに英語、スペイン語、韓国語以外の言語は合計3.4%。2025年通年の1.9%から比率を高めている。ここでも比較期間には違いがあるが、非英語の広がりをスペイン語だけで説明することはできない。
一方、アーティストの出身国で見ると、米国外からの主な供給源は英国、メキシコ、カナダだった。米国出身者は依然として国内音声配信のおよそ3分の2を占める。英語のシェアと米国出身者のシェアは同じではない。海外勢の伸長を、そのまま非英語曲の伸長と読み替えることもできない。
この先の広がりを考えるうえで焦点になるのは、一度の大型出演で生まれた関心が、ほかの作品やアーティストの継続的な聴取へ向かうかどうかだ。今回の数字だけでは、その持続性までは分からない。Luminateは、才能の発掘と育成を担うA&RA&RエーアンドアールArtists and Repertoireアーティストの発掘や育成、楽曲・制作方針の検討などを担うレーベルの機能。広告や宣伝を中心とするマーケティングとは区別されるが、活動を支えるうえで連動する。用語集で詳しくも地元の人材だけには頼れないと論じる。言語や国境を越えた発掘が、より重みを持つ可能性がある。
日本から見ると、米国は一枚岩ではない
日本からこの変化を見るとき、まず分けたいのは「米国で聴かれること」と「英語で歌うこと」である。今回の資料には、日本市場の言語別シェアや日本語楽曲の米国での実績は示されていない。したがって、日本でも同じ変化が進んでいる、あるいは日本語曲にも同じ結果が見込めるとは言えない。
それでも、海外での成功を考える際の見取り図は少し細かくなる。スペイン語という言語、ラテン音楽というジャンル、プエルトリコという出身地は、重なりながらも別の軸だ。米国を単一の英語市場として扱うだけでは捉えにくい聴取の広がりがある。6月下旬の時点で見えていたのは、英語が中心にあり続ける市場の内側で、ほかの言語も日常の選択肢になっているという兆しである。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年6月25日(木))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次Music Business Worldwide2026-06-26
“Listeners are increasingly turning to music in other languages, led by Spanish, which reached a 9.5% share of US on-demand audio (ODA) streams in the quarter, or close to one in 10.”
聴き手はますます他の言語の音楽へと向かっている。その先頭に立つスペイン語は、同四半期の米国オンデマンド音声配信で9.5%、およそ10回に1回に近いシェアに達した。
確認日 2026-10-18


