1–3 YEARS · シーンと言説の潮流国境なきヒット

スターの外側にも届き始めた音

米国の音楽聴取で英語の比率低下、広がるスペイン語圏の裾野

米国の音楽聴取で、英語の比率が前年から低下した。スペイン語楽曲のシェア拡大とともに、ラテン音楽を月に一度は気軽に聴く層も広がっている。2026年6月に紹介されたLuminateのデータから見えるのは、海外のスターが売れるだけでなく、異なる言語の音楽が日常の選択肢に入っていく兆しだ。

クリーム色の背景に、青い大きなレコードと赤やピンクの小さな円が並び、複数の溝の線がゆるやかにつながる抽象イラスト。

英語の外側が、日常の選択肢になる

米国で聴かれる音楽の言語構成に、小さくない動きが出ている。2026年6月24日付のMusic Allyが紹介したLuminateの報告によると、同年第1四半期の英語楽曲の消費比率は86%。前年同期の88.1%から2.1ポイント下がった。英語が圧倒的な中心にある構図は変わらない。その中心の外側が、少しずつ広がっている。

大きな役割を担うのはスペイン語楽曲だ。米国のオンデマンド型オーディオストリームオーディオストリームAudio streams音声配信サービスで楽曲が再生された回数を指す。同じ人の繰り返し再生も含むため、聴き手の人数や支持の広がりとは区別して読む必要がある。用語集で詳しくに占める市場シェア市場シェアしじょうしぇあMarket shareある市場全体に対し、企業やサービスが占める割合。売上、利用者数、利用時間など何を測るかで意味が変わり、この記事ではポッドキャスト利用者を軸に配信先を比較する。用語集で詳しくは、過去最高の9.5%となった。およそ10回に1回の再生に相当する。記事は、その動きを率いる存在としてバッド・バニーバッド・バニー Bad BunnySpotify で探すApple Musicを挙げている。

ただし、兆しはスターの強さだけではない。ラテン音楽を月単位で気軽に聴く層の割合は、2024年初めの41%から2026年第1四半期には56%へ上昇した。特定の熱心なファンだけでは説明しにくい、聴き手の裾野の拡大。異なる言語の音楽が、特別な発見から普段の選択肢へ近づいている可能性がある。

国籍と言語を分けると見える変化

背景にあるのは、ストリーミングストリーミングMusic streamingネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。用語集で詳しくを通じて出自の異なる音楽が同じ市場に届く環境だ。Music Allyは、ストリーミングストリーミングMusic streamingネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。用語集で詳しくには既存のスターへ収入を集めるという批判がある一方、多様な出自の音楽に発表と流通の場を与えてきたとも指摘する。今回の数字は、その接点が実際の聴取に表れていることを示す。ただし、配信の仕組みだけが変化を生んだと証明するデータではない。

ここでは、アーティストの国籍と言語を分けて読む必要がある。報告では、米国のオンデマンド型オーディオストリームオーディオストリームAudio streams音声配信サービスで楽曲が再生された回数を指す。同じ人の繰り返し再生も含むため、聴き手の人数や支持の広がりとは区別して読む必要がある。用語集で詳しくの約3分の2を、なお米国のアーティストが占める。一方、英語楽曲の比率は86%。米国出身であることと、英語で歌うことは同じ指標ではない。海外勢の伸びを、そのまま非英語楽曲の伸びと読み替えることもできない。

実際、記事は米国外の英語圏アーティストにも触れている。オリヴィア・ディーンオリヴィア・ディーン Olivia DeanSpotify で探すApple Musicらを背景に、英国のシェアは年初来で上向いたという。米国の外から音楽が届く経路と、英語以外の音楽が聴かれる経路。その両方が動いている。国境を越えるヒットを捉えるには、この違いが重要になる。

スペイン語の先にも、まだらな広がり

変化はスペイン語だけに限らない。韓国語楽曲のシェアは1.1%。英語、スペイン語、韓国語以外の言語を合わせた楽曲は、総ストリームの3.4%を占める。ただし後者は、複数の言語を一括した数字だ。そこから個々の言語や国の勢いを特定することはできない。

この先1〜3年を考えるうえで注目されるのは、非英語のヒットが増えるかだけではなく、聴かれ方の幅が続いて広がるかという点だ。ラテン音楽では、再生のシェアと気軽に聴く層の双方が伸びている。この組み合わせは、単発のヒットとは異なる定着を考える手がかりになる。もっとも、同じ変化が他の言語にも起こるかは、今回の資料からはわからない。

また、言語ごとの比率が広がっても、多くのアーティストに収入が分散するとは限らない。今回紹介された数字には、収入の配分や、再生が何組に集中しているかの内訳はない。聴取の多様化と、担い手の経済的な広がりは別の問いだ。見えている変化と、まだ見えていない変化がある。

日本からは「その他」の内訳を見る

日本から読むとき、米国市場の数字をそのまま日本の聴取環境に重ねることはできない。この資料が示すのは、英語楽曲が86%を占める市場の中での変化であり、日本国内との比較データではない。また、日本語楽曲の米国でのシェアも示されていない。3.4%という集計を、日本語楽曲の躍進の根拠にすることはできない。

それでも、米国で広く聴かれるための言語が英語だけではないことは、数字で確かめられる。とりわけスペイン語楽曲では、スターの存在と日常的な聴取層の広がりが並んでいる。日本から見える光は、海外進出の成功が約束されたことではない。国籍、歌う言語、聴き手の習慣を分けて見ることで、国境を越える音楽の届き方を、より具体的に捉えられるようになっていることだ。

この記事は、2026年10月に、当時(2026年6月24日(水))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。

EVIDENCE出典

  1. 二次Music Ally2026-06-24

    Luminate Global Trends in Music Consumptionmusically.com ↗

    “In the first quarter of 2026, English-language music consumption fell by 2.1 share points YoY from 88.1% to 86%.”

    2026年第1四半期、英語楽曲の消費比率は前年同期の88.1%から86%へ、2.1ポイント低下した。

    確認日 2026-10-18

Artistsこの記事に登場するアーティスト

PUBLISHED 2026.06.24 · 著者 Andown · 引用元 Music Ally