見ることに加え、聴く、嗅ぐ、触れるといった感覚を組み合わせて作品を経験させる表現。映像や物体だけでなく、空間に流れる音、匂い、振動、身体の姿勢なども意味を担う。必ずしも特別な機器を使うものではなく、身近な素材や空間の配置によっても成立する。
エル・クーリーは、視覚を中心に捉えられがちな上演を、距離や規模、匂い、身体への振動によって組み替えている。本記事で注目するのは、感覚刺激の強さではなく、身体を落ち着かせる形式と重い内容の関係である。
日本の展示を考える際にも、感覚を増やすことと、誰もが参加しやすくなることは同じではない。匂いや音への敏感さ、感覚の違いによって経験は変わるため、刺激の内容を事前に伝えることや、別の受け取り方を設けることは、それぞれ検討される事項となる。