1–3 YEARS · シーンと言説の潮流AI生成音楽ライブ・ブーム

曲を作った先に、客席への道筋

Suno、Songkickを軸に楽曲制作とライブ発見を接続へ

AI音楽企業Sunoが、Ticketmaster出身のマイケル・チュアをライブ事業の責任者に迎えた。傘下の公演発見サービスSongkickと制作基盤を結ぶ構想には、生成した曲の外側へ事業を広げる兆しがある。接続の実像はまだ見えないが、制作支援、ファンの発見、公演への送客が同じ企業の事業として並び始めた。

クリーム色の背景に、音の波形から伸びる青い道と、その先に並ぶ珊瑚色の客席を描いた抽象的な平面イラスト。

生成する場所から、会いに行く場所へ

AIで曲を作るサービスが、曲を作った後の道筋にも手を伸ばしている。Sunoは、Ticketmasterで事業開発と戦略的提携を担当していたマイケル・チュアを、ライブ事業部門の副社長兼ゼネラルマネジャーに迎えた。管轄には、公演を探すためのプラットフォームSongkickが含まれる。

Music Business Worldwideの報道によると、チームはSongkickと、Sunoが「クリエイティブ・エンターテインメント・プラットフォーム」と呼ぶ制作基盤の接続に取り組む。公演のレコメンドレコメンドRecommendation利用者の関心に合うと判断した投稿や楽曲を、サービス側が選んで提示する仕組み。何を手掛かりに選び、本人がどこまで調整できるかが、体験を左右する。用語集で詳しくも改善し、ファンがより多くのライブに足を運ぶことを目指すという。

ここで見えているのは、AIが舞台上の演奏を置き換えるという話ではない。制作を起点に、アーティストの活動と観客との出会いをつなぐ構想だ。チュアは、曲の最初の着想からステージまでを支え、その過程にファンも伴う機会があると説明する。ただし、具体的な新機能や公演の実施方法は、この記事では示されていない。

買収、人材、利用者情報がそろう

土台はすでに用意されていた。Sunoは2025年11月、Warner Music Groupとの著作権著作権ちょさくけんCopyright楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。用語集で詳しく訴訟を解決したライセンスライセンスLicensing一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。用語集で詳しく契約の一環として、同社からSongkickを取得した。2026年4月下旬の責任者募集でも、Songkickの公演関連情報と、Sunoのアーティスト・制作基盤を結ぶ統合計画の策定が求められていた。今回の人事は、買収後の接続を担う体制づくりと読める。

チュアの前職での経験も、その方向と重なる。Sunoによれば、TicketmasterではGoogle、YouTube、Spotifyなどとの製品連携を構築。ファンがTicketmaster自身のサイトやアプリを訪れずに、公演を見つけてチケットを買える仕組みに携わった。人がいる場所と、購入する場所をつなぐ経験である。

接続には利用者情報も関わる。4月30日にSongkick利用者へ送られたメールは、アカウント情報に加え、好みのアーティストや地域の情報がSunoへ移管され、同社がデータ管理者になると伝えていた。データガバナンスデータガバナンスData Governanceデータを誰が、どの権限と責任で扱うかを定め、管理する仕組み。保存場所や安全対策に加え、アクセスの範囲、監督、規則の運用などが関わる。用語集で詳しくの観点では、所有者の変更だけでなく、その情報が何のために使われるかが論点になる。ただし、AIの学習への利用まで、この報道が確認したわけではない。

事業の規模も小さくない。Sunoは6月、評価額54億ドルで4億ドル超を調達し、累計利用者は1億人超と説明している。一方、9月18日にはUniversal Music GroupとSony Music Entertainmentが新たな著作権著作権ちょさくけんCopyright楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。用語集で詳しく訴訟を起こした。原告側は6万202件の音源の無許諾複製を主張し、Sunoは争っている。提携と権利紛争が並走するなかでの、ライブ領域への展開だ。

次に試される、制作と集客のつなぎ方

今後1〜3年の広がりを考える手掛かりは、機能の統合だけではない。Sunoが6月25日に始めた未契約の独立系アーティスト向け支援プログラムSparkでは、採択者に助成金、追加のマーケティング資金、制作合宿への参加機会を提供するとしている。音楽部門の責任者は、こうした新進アーティストのライブ体験づくりもチームの焦点に挙げる。

制作ツールと公演情報の間に、アーティスト開発アーティスト開発Artist development才能の発掘から活動の方向づけ、観客との関係づくりまで、アーティストのキャリアを継続して育てる仕事。今回の買収では、地域に蓄積された専門性として重視されている。用語集で詳しくが置かれている点が重要だ。曲を完成させる支援だけでなく、その曲を誰に届け、どこで披露するかまでを同じ事業の中で扱う可能性がある。SongkickのレコメンドレコメンドRecommendation利用者の関心に合うと判断した投稿や楽曲を、サービス側が選んで提示する仕組み。何を手掛かりに選び、本人がどこまで調整できるかが、体験を左右する。用語集で詳しく改善が、既存の人気公演への送客にとどまるのか、新しい出演者と観客の出会いにもつながるのか。そこはまだ分かれていない。

Sunoは8月に制作曲をレコード化するサービスの待機登録を始め、9月には準備中の物販サイトも確認された。生成された音源だけで完結せず、物や会場へと接点を増やす動きである。ただし、レコード、物販、ライブを一体化した収益モデルや、その成果までが示された段階ではない。

日本から見ると、曲の後工程が見える

日本からこの動きを読む際、AIで作った曲をライブで演奏できるか、という問いだけでは構想の一部を取りこぼす。今回の特徴は、生成技術そのものより、制作サービスを持つ企業が、公演の発見基盤とその利用者情報も抱える点にある。国内にも同じ接続があると、この出典だけで比較することはできない。

それでも、音楽生成サービスを見る範囲が、出力された曲から、その後の活動へ広がりつつあることは読み取れる。誰の曲が見つかり、どの公演が勧められ、観客との関係がどこに蓄積されるのか。Sunoの人事が照らしたのは、制作と興行の間をつなぐ仕組みを、誰が持つのかという論点である。

この記事は、2026年10月に、当時(2026年10月8日(木))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。

EVIDENCE出典

  1. 二次Music Business Worldwide2026-10-09

    Suno hires Ticketmaster’s Michael Chua to lead its live music team, including Songkickmusicbusinessworldwide.com ↗

    “On April 30 , emails sent to Songkick users confirmed that their personal data would be transferred to Suno, which would become the “controller” of that data.”

    4月30日にSongkick利用者へ送られたメールは、個人データがSunoへ移管され、同社がそのデータの「管理者」になることを確認した。

    確認日 2026-10-18