1–3 YEARS · シーンと言説の潮流AI生成音楽著作権の再発明
音源の出所と、取得経路の境界
Udioが認めた学習音源の取得、争点に残るアクセス制御
UdioはYouTubeから学習用の音声データを取得したと認める一方、ソニーの著作権侵害の主張を争っている。2026年5月初めに見えていたのは、生成AIの学習をめぐる議論が、利用目的だけでなく取得経路にも及ぶ局面だ。4月の答弁と裁判所の判断から、まだ決着していない境界を読む。

取得を認めても、侵害は認めない
音源をどこから得たのか。それを認めることと、違法な利用だったと認めることは同じではない。生成AI生成AIせいせいエーアイGenerative AI学習したデータのパターンをもとに、音声や画像、文章などを生成する技術の総称。音楽では作曲、歌声、演奏など、使われる工程によって役割が異なる。用語集で詳しくによる音楽サービスのUdioが、ソニー・ミュージック側の訴訟に提出した答弁は、この区別を前面に出した。2026年5月初めを振り返ると、学習の是非だけでなく、音源にたどり着く経路そのものが争点になっていた。
4月29日、Udioはニューヨーク南部地区連邦地裁への提出書面で、YouTubeから学習用の音声データを取得したと認めた。一部の取得にはダウンロード用ツールのYT-DLPを使ったという。一方、ソニー側による著作権侵害著作権侵害ちょさくけんしんがいCopyright infringement著作権で保護される表現を、許諾や法律上の根拠なく利用して権利を侵すこと。音楽では歌詞や旋律などが問題となり、似ているという印象だけで直ちに成立するわけではない。用語集で詳しくの主張は否定。取得という行為についての説明と、その法的評価を切り分けている。
Udioは、公開された情報源から集めた多様な録音をモデルに与え、その音響的特徴について統計的な知見を得たと説明する。著作権著作権ちょさくけんCopyright楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。用語集で詳しくで保護される表現の複製があるとしても、米国法のフェアユースフェアユースFair Use米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。用語集で詳しくに当たるとの立場だ。これは同社の抗弁であり、裁判所が学習利用の適法性を認めたという意味ではない。
月額課金の裏側にある、別の法的な問い
この訴訟は、研究段階の実験だけを扱っているわけではない。Udioは、利用者の指示から数秒で音楽ファイルを生成し、月額料金を受け取ることも認めた。答弁によれば、当初は月600ファイルまで無料。2024年5月8日には、30秒のクリップ1,200本に相当するクレジット制作クレジットせいさくくれじっとRecording credits楽曲や録音の制作に関わった人と、その役割を示す情報。歌い手だけでなく、演奏や録音などの担い手を知り、別の作品へ進む手がかりにもなる。用語集で詳しくを月10ドル、4,800本相当を月30ドルで提供する料金区分を導入した。
大手レコード会社がUdioと競合のSunoを提訴したのは2024年6月。両社は同年8月、原告側が権利を持つ録音を利用したことを事実上認めつつ、フェアユースフェアユースFair Use米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。用語集で詳しくを主張した。その後、ユニバーサルとワーナーはUdioとの和解に至ったが、ソニーとの訴訟は続いていた。同じサービスに対して、和解と法廷での争いが並走する構図である。
取得経路が焦点となったのは、YouTubeの技術的措置を回避したという訴えが加わったためだ。ここで問題になるDMCADMCAディーエムシーエーDigital Millennium Copyright Act米国のデジタル著作権法。ネット上の侵害に対する削除通知や、一定の条件を満たすサービス提供者の責任制限を定め、本件の通知制度の背景となる。用語集で詳しくは、著作物へのアクセスを制御する技術の回避も扱う。Udioは、公開されている動画のダウンロードを米国著作権著作権ちょさくけんCopyright楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。用語集で詳しく法が犯罪としているわけではないと反論した。対するレコード会社側は、その説明が自分たちの主張と法制度を誤って描いていると反発した。
4月15日、裁判所は、ソニー側の回避に関する請求を退けるよう求めたUdioの申立てを認めなかった。ただし、侵害が確定したのではない。裁判官は、YouTubeの措置が法的な意味でのアクセス制御に当たるかどうかには、訴状などの記載を超えた事実記録が必要だとした。Udioが事実の蓄積後に再び議論する余地も残された。
学習の目的から、取得の工程へ
この時点から先の数年を見ると、争いの焦点が学習の目的だけでなく、取得の工程へ広がる可能性がある。「新しい音楽を生むための分析だった」という説明と、「どの技術を使い、どの措置を越えて音源を集めたのか」という問い。今回の訴訟では、その双方が問われている。
Udioは、自社の処理を利用者には見えない内部工程と位置づけ、最終的には権利を侵害しない新製品を生むと主張する。しかし、生成結果についての説明だけでは、取得経路への疑義が解消されたことにはならない。今後の事実記録によって、どの技術的措置が存在し、どう取得されたかが検討されることになる。
他社との和解があることも、残る訴訟の結論を先取りしない。契約で利用条件を整える動きと、裁判で法的な境界を争う動き。その両方が続く可能性がある。ただし、この答弁から和解条件の中身や、業界全体に通用する学習許諾の基準まで読み取ることはできない。
日本から見ると、分けて読むための材料
日本から読む際には、米国法のフェアユースフェアユースFair Use米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。用語集で詳しくとDMCADMCAディーエムシーエーDigital Millennium Copyright Act米国のデジタル著作権法。ネット上の侵害に対する削除通知や、一定の条件を満たすサービス提供者の責任制限を定め、本件の通知制度の背景となる。用語集で詳しくを前提にした争いを、日本での適法・違法の判断へそのまま置き換えないことが重要になる。出典は日本の制度や事例を扱っていない。比較できる範囲は限られるが、学習目的、素材の取得方法、生成結果を分けて見るための材料にはなる。
見えていた兆しは、公開されている音源なら自由に学習できる、あるいは取得を認めたから侵害も確定した、という二択には収まらない。Udioは取得を認め、法的責任は争っている。裁判所も追加の事実を必要としている。生成AI生成AIせいせいエーアイGenerative AI学習したデータのパターンをもとに、音声や画像、文章などを生成する技術の総称。音楽では作曲、歌声、演奏など、使われる工程によって役割が異なる。用語集で詳しくと音楽の関係を決める境界は、この時点では、まだ検証の途中にあった。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年5月4日(月))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次Music Business Worldwide2026-05-05
“Udio admits that it obtained audio data from YouTube for use as training data, but otherwise denies any remaining allegations of this paragraph.”
Udioは、学習データとして用いるためにYouTubeから音声データを取得したことは認めるが、この段落にあるその他の主張はすべて否認する。
確認日 2026-10-18


