展示を支える労働が意思を示す
ヴェネツィアの文化労働者、国別館への抗議でストを計画
ヴェネツィア・ビエンナーレの内覧が始まった2026年5月初旬、文化労働者らがイスラエルの参加に抗議する24時間ストを計画した。作品の出展や鑑賞を拒むだけでなく、展覧会を動かす労働を止めるという意思表示。国別館をめぐる対立が、開催を支える人々と制度の関係へ広がっていた。

作品の不参加から、労働を止める抗議へ
展示室に何を置くか。その手前に、誰が展覧会を動かすのかという問いが現れた。第61回ヴェネツィア・ビエンナーレビエンナーレBiennale原義は「2年ごと」。現代アートでは隔年開催の国際展を指すことが多く、作品の発表に加え、選考や運営の制度も表現の条件に関わる。用語集で詳しくの内覧が始まった2026年5月初旬、文化労働者らはイスラエルの参加に反対し、5月8日の24時間ストを計画していた。Hyperallergicが同月6日に報じた、実施前の動きである。
連携組織Art Not Genocide Alliance(ANGA)は、これをビエンナーレビエンナーレBiennale原義は「2年ごと」。現代アートでは隔年開催の国際展を指すことが多く、作品の発表に加え、選考や運営の制度も表現の条件に関わる。用語集で詳しく内部で行われる初の組織的ストと位置づけた。参加予定として挙げられたのは、地元の文化労働者連合Biennaleocene、独立系アートスペースSale Docks、文化遺産の団体、草の根運動、そしてイタリアの労働組合労働組合ろうどうくみあいLabor union働く人々が労働条件の維持・改善などを目的に組織する団体。使用者と集団で交渉する基盤になるが、結成の表明と、交渉代表としての承認や協約の成立は別の段階である。用語集で詳しくだ。
兆しは、抗議の担い手が出展作家だけにとどまらない点にある。作品を出さない、会場に行かないという選択に、働かないという選択が重なる。国際展の政治的な判断に対し、その開催を支える人々が労働を通じて異議を示す試みである。ただし、この段階で参加人数も、展示への影響も確定していなかった。
国別館国別館くにべつかんNational Pavilion国や地域の参加単位として設けられる展示の枠組み。建物だけでなく、代表作家の選考、企画、運営を含み、担当主体や権限は参加者ごとに異なる。用語集で詳しくと賞をめぐる判断の連鎖
対立の中心には、ガザでの甚大な被害が続くなかで、イスラエルの国別館国別館くにべつかんNational Pavilion国や地域の参加単位として設けられる展示の枠組み。建物だけでなく、代表作家の選考、企画、運営を含み、担当主体や権限は参加者ごとに異なる。用語集で詳しくを受け入れる主催者の判断がある。ANGAは内覧中に配布した文書で、同館のボイコットを呼びかけた。文化の威信が暴力やその支援を覆い隠すという、アートウォッシングアートウォッシングArtwashing芸術への寄付や協賛が、支援者の問題行為や事業への批判を和らげ、評判を整える働きを指す批評語。支援の事実だけで意図まで断定する言葉ではない。用語集で詳しくへの批判である。これは抗議側が示した評価として読む必要がある。
イスラエルの常設館は、2024年に出展作家が停戦と人質解放の合意を公開の条件として以来、閉じたままだった。今回はアルセナーレの仮設館で参加する。その受け入れにもANGAは反発した。一方、ロシア館は国際的な制裁経済制裁けいざいせいさいEconomic Sanctions特定の国や個人・組織との取引などを制限する措置。文化事業への適用は、対象者、資金、提供するサービス、関係する法域などによって判断が分かれる。用語集で詳しくのため、内覧後は一般公開されないという、異なる参加条件に置かれていた。
賞の制度も揺れていた。審査員団は、国際刑事裁判所で人道に対する罪に問われている指導者の国を審査対象から外すと表明した後、辞任した。主催者はその後、金獅子賞を取りやめ、来場者が投票する新たな賞を導入。イスラエルとロシアも対象に戻った。参加の可否、公開の範囲、評価の資格が、それぞれ別の判断として動いていた。
抗議には蓄積がある。2024年にANGAが始めた参加反対の公開書簡は、2万2,000筆を超える署名を集めた。今回に先立つ別の書簡には、同団体によれば18の国別館国別館くにべつかんNational Pavilion国や地域の参加単位として設けられる展示の枠組み。建物だけでなく、代表作家の選考、企画、運営を含み、担当主体や権限は参加者ごとに異なる。用語集で詳しくチーム、作家113人、キュレーター38人、アートワーカー85人が署名した。ただし、書簡への賛同とストへの参加は同じではない。この数字を、そのまま当日の動員規模とは読めない。
広がりを測るのは、署名よりも稼働
ストの実効性を考える手がかりとして、Biennaleoceneの関係者は前年の建築ビエンナーレビエンナーレBiennale原義は「2年ごと」。現代アートでは隔年開催の国際展を指すことが多く、作品の発表に加え、選考や運営の制度も表現の条件に関わる。用語集で詳しくを挙げた。Global Sumud Flotillaをめぐるゼネストの際、約20の館が閉まったという。今回も同程度の結果を望むと語ったが、参加見込み人数は示していない。閉館という目に見える影響は、まだ目標の段階にあった。
この時点から数年先を考えるなら、注目されるのは、同じ抗議が繰り返されるかだけではない。国別館国別館くにべつかんNational Pavilion国や地域の参加単位として設けられる展示の枠組み。建物だけでなく、代表作家の選考、企画、運営を含み、担当主体や権限は参加者ごとに異なる。用語集で詳しくのチーム、地域の文化労働者、労働組合労働組合ろうどうくみあいLabor union働く人々が労働条件の維持・改善などを目的に組織する団体。使用者と集団で交渉する基盤になるが、結成の表明と、交渉代表としての承認や協約の成立は別の段階である。用語集で詳しくが、開催条件をめぐって継続的に連携できるかである。展示への賛否を、会場の運営や労働の問題につなぐ回路が育つ可能性がある。ただし、継続の仕組みや他の国際展への波及を示す材料は、記事にはない。
もう一つは、参加を認めることと、賞を与えることの関係だ。審査員団の辞任と来場者投票への変更は、政治的な対立が展示内容だけでなく、評価の方法にも及ぶことを示した。投票主体を変えることで何が変わるのか。新しい賞の導入だけでは、その答えは出ていない。
日本から見る、展示の背後の連携
日本からこの出来事を読む際、国別館国別館くにべつかんNational Pavilion国や地域の参加単位として設けられる展示の枠組み。建物だけでなく、代表作家の選考、企画、運営を含み、担当主体や権限は参加者ごとに異なる。用語集で詳しくごとの作家や作品だけを追うと、動きの一部が見えなくなる。今回の記事で前景化したのは、国の代表という枠と、開催都市で働く人々の連携との違いだ。国別に組み立てられた展覧会の内部に、所属国を単位としない意思表示の場が生まれようとしていた。
ただし、この出典は日本の国際展の労働条件や組合との関係を比較していない。同じ行動が日本でどこまで成り立つかは判断できない。ここで読み取れるのは、国際展の正当性を問う主体が、選ばれた出展者から、開催を支える労働者へも広がっていること。その広がりが実際の休業や閉館に結びつくかが、5月初旬には問われていた。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年5月5日(火))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次Hyperallergic2026-05-06
Culture Workers Announce Venice Biennale Strike in Israeli Pavilion Protesthyperallergic.com ↗
“In a statement shared with Hyperallergic, the Art Not Genocide Alliance (ANGA) described the action as “the first ever organized strike to occur within the Biennale.””
Hyperallergicに寄せた声明で、Art Not Genocide Alliance(ANGA)は、この行動を「ビエンナーレ内部で行われる史上初の組織的スト」と位置づけた。
確認日 2026-10-18


