NOW — 数ヶ月〜1年先 · 兆しの初動ストリーミング2.0

音楽の入口が車そのものになる

ボルボEX60、Apple Musicを車載アプリに直接統合

ボルボの新型電動SUV「EX60」に、Apple Musicがプリインストールされる。スマートフォンとの接続を経ず、車載システムから聴くための入口だ。2026年1月下旬に報じられたこの動きには、音楽配信の競争がアプリの中だけでなく、再生する場所の設計へ広がる兆しがある。

クリーム色の背景に、車のダッシュボードを表す青い曲線と、その中央の再生ボタンから広がる赤い音の輪を配した抽象イラスト。

接続する音楽から、車にある音楽へ

ボルボの新型電動SUV「EX60」は、同社で初めてApple Musicのアプリをプリインストールする車になる。2026年1月下旬、Digital Music Newsが報じた。車内の情報・娯楽機能を担うシステムに直接組み込まれ、CarPlayを使わずに音楽へアクセスできる。

変わるのは、聴ける楽曲というより、聴き始めるまでの経路だ。スマートフォンの機能を車の画面で使う方法に加え、車自体に備わるアプリから再生する方法が用意される。ただし、Apple MusicのサブスクリプションサブスクリプションSubscription継続的な支払いと引き換えに、一定期間サービスを利用できる契約方式。音楽配信では、表示料金だけでなく、割引や契約構成も利用者あたりの収益に関わる。用語集で詳しくは必要だ。車両への搭載と、音楽サービスの利用権は別に扱われている。

EX60はCarPlayも標準で備え、iPhoneをワイヤレスで接続できる。直接統合によって従来の接続方法をなくすのではなく、両方を残す設計である。ここにあるのは、スマートフォンからの完全な離脱ではない。ストリーミングストリーミングMusic streamingネットワーク経由で音源を受信しながら再生する提供方式。音楽市場では有料契約や広告などに支えられるが、市場収入と個々のアーティストの受取額は同じ指標ではない。用語集で詳しくの入口を、車の側にも置くという変化だ。

同じ直接統合でも、車メーカーの選択は異なる

この発表に先立ち、General MotorsもApple Musicの車載システムへの統合を進めていた。記事によれば、2025年・2026年モデルのCadillac CT5、2026年モデルのChevrolet Corvette、Suburban、Tahoeには、すでに統合されている。2027年モデルのChevy Boltに加え、BuickとGMCの車両への導入も予定されている。

ただし、両社の方針は同じではない。General Motorsは、その数カ月前にCarPlayとAndroid Autoへの対応をやめ、直接統合を選ぶ方針を示していた。一方のボルボはCarPlayを残す。音楽アプリを車に組み込むという共通の動きの中でも、スマートフォンとの関係をどう設計するかは分かれている。

EX60では、Dolby Atmosに対応するApple Musicが統合される。音を立体的に配置する空間音響空間音響くうかんおんきょうSpatial audio音の方向や距離、広がりを立体的に感じさせる技術や表現の総称。会場の複数スピーカーやヘッドホンなど、再生環境に応じて体験の作り方が異なる。用語集で詳しくが、車載での音楽体験にも持ち込まれる形だ。記事は、Apple Musicがこの技術を重視していることと結び付けている。ただし、音質の向上が加入や利用時間をどれだけ増やすかを示す数字は、掲載されていない。

車全体の操作系も背景にある。EX60のHuginCoreにはGoogle、NVIDIA、Qualcommが開発したAI技術が組み込まれ、Google Geminiによって自然言語自然言語しぜんげんごNatural language日本語や英語など、人が日常の意思疎通に使う言葉。ここでは、決められた項目だけを選ぶ代わりに、自分の表現で見たいものや聴きたいものを伝える手段を指す。用語集で詳しくで車を操作できるという。音楽アプリの統合は、車載システム全体の高度化と並行している。ただし、記事はGeminiによるApple Musicの具体的な操作方法までは説明していない。

広がりの焦点は、加入者数より入口の設計

この時点から今後数年を見渡すと、注目点は直接統合が他の車種へどこまで広がるかである。General Motorsでは複数のブランドに導入予定が示されている。単一車種の装備にとどまらず、メーカーを横断して同じ音楽サービスが車載の選択肢になる動きは、すでに見え始めている。

その先で試される可能性があるのは、音源の品ぞろえだけではない。車の画面から利用しやすいか、スマートフォンとの接続を選べるか、空間音響空間音響くうかんおんきょうSpatial audio音の方向や距離、広がりを立体的に感じさせる技術や表現の総称。会場の複数スピーカーやヘッドホンなど、再生環境に応じて体験の作り方が異なる。用語集で詳しくをどう体験できるか。配信サービスの使い勝手が、車メーカーの設計とも結び付く。直接統合は、サービス単体では決められない利用環境を増やす動きとも読める。

もっとも、標準搭載がそのまま利用拡大を意味するわけではない。記事には、対応車の販売台数、アプリの利用率、追加契約の件数はない。Apple Musicの契約を持つ人にとって入口が増えることと、新しい加入者が増えることは、分けて捉える必要がある。現段階で確認できるのは、再生への経路が増えることまでだ。

日本から見る、端末とサービスの新しい距離

日本から読む際には、導入地域の違いに留意したい。記事は欧州市場でのEX60の提供と、米国で春に提供を始める予定を伝えているが、日本向けの時期や仕様には触れていない。この車載体験が日本でも同じ条件で使えるとは、この資料だけでは判断できない。

それでも読み取れる変化はある。音楽配信の次の形は、料金や楽曲の追加だけではなく、日常のどこに再生の入口を置くかにも現れる。ボルボは直接統合とCarPlayを併存させ、General Motorsは直接統合を優先する。聴く場所にサービスを組み込む流れの中で、接続方法の選択を誰が担うのかが、具体的な製品の違いとして見え始めている。

この記事は、2026年10月に、当時(2026年1月25日(日))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。

EVIDENCE出典

  1. 二次Digital Music News2026-01-26

    Volvo Directly Integrates Apple Music Into Upcoming EX60 EVsdigitalmusicnews.com ↗

    “The app will be available through the vehicle’s built-in infotainment system, negating the need for CarPlay, though it will require an Apple Music subscription.”

    このアプリは車載のインフォテインメントシステムから利用でき、CarPlayは不要になる。ただし、Apple Musicのサブスクリプションは必要だ。

    確認日 2026-10-18