1–3 YEARS · シーンと言説の潮流AI生成音楽著作権の再発明

許諾市場の存在が争点に変わる

ソニーがUdioを再提訴、3万件超の録音を別訴へ

ソニー・ミュージックが音楽AI企業Udioを再び提訴した。争点となる録音のリストを3万件超へ広げ、勝訴時に求め得る法定損害賠償は45億ドルを超える規模となる。2026年7月21日時点で見えるのは、他社が結んだ許諾契約そのものを、AI学習の適法性を争う材料にする動きだ。

クリーム色の背景に、重なった多数のレコードと、二つの輪を結ぶ細い線を配した抽象的な平面イラスト。

録音の追加ではなく、もう一つの訴訟

ソニー・ミュージックが、音楽AI企業Udioに対して2件目の訴訟を起こした。CMUが2026年7月21日に報じた。発端は、最初の訴訟で侵害を主張する録音のリストを、333件から3万442件へ広げようとしたこと。その追加が認められず、別の訴訟で権利を問う形になった。

目を引くのは録音数だけではない。ソニーは、ユニバーサル・ミュージックとワーナー・ミュージックがUdioと結んだライセンスライセンスLicensing一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。用語集で詳しく契約を、自らの主張を支える材料にした。他社にとっての和解が、残る訴訟では「許諾を得る市場は存在する」という論拠へ変わっている。

生成AI音楽生成AI音楽せいせいエーアイおんがくGenerative AI music学習したデータの特徴をもとに、AIが楽曲や歌声、録音などを生成する技術や、その生成物。生成できることと、利用や公開の権利が認められることは別の問題となる。用語集で詳しくをめぐる対立は、無断学習の是非だけで閉じていない。契約を結ぶ動きと、法廷で権利を争う動きが、互いに影響し合う段階にある。ただし、契約の成立と、裁判所による適法性の判断は別物だ。ここを分けて読む必要がある。

45億ドルという規模と、未確定の法的評価

最初の訴訟を担当するアルビン・K・ヘラースタイン判事は、6月、手続きが進んだ段階で3万件超の録音を追加すれば、Udioを著しく不利にすると判断した。一方、ソニーがそれらの録音について権利を行使すること自体は否定せず、同じ訴訟で行う必要はないとした。今回の別訴は、その判断を受けたものだ。

CMUによれば、対象リストを広げたことで、ソニーが勝訴した場合に求め得る法定損害賠償法定損害賠償ほうていそんがいばいしょうStatutory damages実際の損害額の立証とは別に、法律で定めた枠組みに基づいて求める損害賠償。訴状に示された可能額は、裁判所が認めた支払額や和解金とは異なる。用語集で詳しくは45億ドルを超える。これは支払いが命じられた金額でも、確定した債務でもない。それでも同媒体は、将来その規模の賠償を負う可能性が、Udioに許諾交渉を促す圧力になると見ている。

ソニーは、当初から長い録音リストを示せなかった理由を、Udioが学習データ学習データがくしゅうデータTraining DataAIがパターンや特徴を学ぶために使うデータ。音楽では楽曲や音声などが対象になり得るが、個別サービスの収集内容や利用条件は、開示資料などによる確認が必要となる。用語集で詳しくを十分に開示していないことに求める。さらに、対象外にも侵害された録音があると主張する。どの音源が使われたのかという情報の所在が、権利侵害の立証だけでなく、訴訟の範囲にも関わっている。

法的な中心は、米国著作権著作権ちょさくけんCopyright楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。用語集で詳しく法のフェアユースフェアユースFair Use米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。用語集で詳しくだ。一定の条件で無許諾利用を認める考え方で、CMUはUdioが学習時の複製についてもこれを主張すると説明する。対するソニーは、YouTubeの技術的措置を回避して録音を取得したことや、生成された音楽が元の録音の市場価値を損なうことを訴状で主張した。いずれも、この報道時点で裁判所が認定した事実ではない。

許諾契約が、次の争いの材料になる

ユニバーサルとワーナーは、当初ソニーとともにUdioを訴えたが、その後は和解し、ライセンスライセンスLicensing一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。用語集で詳しく契約を結んだ。ソニーの新たな訴状は、その契約が二つのことを示すと主張する。生成AI生成AIせいせいエーアイGenerative AI学習したデータのパターンをもとに、音声や画像、文章などを生成する技術の総称。音楽では作曲、歌声、演奏など、使われる工程によって役割が異なる。用語集で詳しく向けに録音を許諾する市場が機能していること。そして、その用途には許可が必要だとUdio自身が認識していることだ。後者もあくまでソニー側の解釈である。

ここから1〜3年の論点として見えるのは、訴訟と契約が並行して進む可能性だ。許諾の実例が増えれば、音楽を学習に使う条件だけでなく、無許諾利用が既存・将来の市場に与える影響も、より具体的に争われる可能性がある。契約は紛争の出口であると同時に、別の紛争で参照される材料にもなる。

ただし、契約があるからといって、すべてのAI学習に許諾が必要だと決まるわけではない。学習素材の取得方法、利用の性質、市場への影響をどう評価するかは、なお争われている。CMUはソニーも最終的には許諾契約へ向かうと見ているが、それは同媒体の見通しであり、合意の成立を伝えるものではない。

日本からは、契約と判決を分けて見る

日本から読む際の境界は、この事件が米国法のフェアユースフェアユースFair Use米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。用語集で詳しくをめぐる争いだという点にある。本記事の出典は日本の制度や契約状況を扱っておらず、45億ドルという規模や法的な主張を、そのまま日本の音楽利用に当てはめることはできない。

一方、読み取れる変化はある。AI企業と権利者の契約は、当事者間の利用条件を決めるだけではなく、許諾市場があることを示す材料にもなっている。2026年7月時点で見えていたのは、学習を認めるか否かという対立に、誰が何を許諾し、その合意が他の交渉にどう作用するのかという層が重なったことだ。

この記事は、2026年10月に、当時(2026年7月21日(火))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。

EVIDENCE出典

  1. 二次CMU(Complete Music Update)2026-07-21

    Sony Music sues Udio for a second time, with the extra 30,000 recordings that could result in $4.5 billion damagescompletemusicupdate.com ↗

    “Last month, Hellerstein concluded that expanding Sony’s first lawsuit by adding an extra 30,000+ recordings at this relatively late stage in the proceedings would “substantially prejudice” Udio.”

    先月、ヘラースタイン判事は、手続きが比較的進んだこの段階で3万件超の録音を追加してソニーの最初の訴訟を拡大すれば、Udioを「著しく不利にする」と判断した。

    確認日 2026-10-18