1–3 YEARS · シーンと言説の潮流AI生成音楽著作権の再発明
似ていない出力が競合する場所
米司法省が支持するAI学習の適法性、争点は市場の損害
米司法省は、OpenAIによる著作物の学習利用をフェアユースとする立場を裁判所に示した。焦点は、出力が元の作品を直接代替しなくても、同じ市場で競合すれば損害と認められるのかという点にある。2026年9月初めに見えたのは、音楽にも及ぶ「市場の損害」の測り方をめぐる対立だ。

学習の許諾から、市場の損害へ
2026年9月初め、米国で生成AI生成AIせいせいエーアイGenerative AI学習したデータのパターンをもとに、音声や画像、文章などを生成する技術の総称。音楽では作曲、歌声、演奏など、使われる工程によって役割が異なる。用語集で詳しくと著作権著作権ちょさくけんCopyright楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。用語集で詳しくをめぐる争いに、政府の立場が明確な形で加わった。9月4日付のCMUによると、米司法省はニューヨークの裁判所に、OpenAIが著作権著作権ちょさくけんCopyright楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。用語集で詳しくで保護された作品を学習に使う行為はフェアユースフェアユースFair Use米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。用語集で詳しくに当たるとの見解を提出した。一定の条件で、権利者の許諾なしに著作物を利用できるという米国法上の枠組みである。
これは裁判所の結論ではない。ニューヨーク・タイムズなどがOpenAIを訴える訴訟で、司法省が同社側の主張を支持したという出来事だ。政府はそれまで、この法的な問いは裁判所が答えるものとしてきた。判断の場は変わらないが、政府が望む答えは具体的になった。
その中で音楽にもつながる兆しは、争点が「無断で複製したか」だけにとどまらないことだ。生成された作品が元の作品に似ていなくても、同じ市場の収入を奪うなら損害なのか。学習時の利用と、生成後の競争をどう結びつけるかが問われている。
数十件の訴訟と、損害の二つの捉え方
CMUによれば、米国ではAI企業に対する著作権著作権ちょさくけんCopyright楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。用語集で詳しく訴訟が数十件あり、レコード会社、音楽出版社音楽出版おんがくしゅっぱんMusic publishing歌詞やメロディーなど楽曲の著作権を管理し、利用の許諾や収益につなげる事業。特定の録音物を扱う権利とは区別され、契約によって管理や保有の範囲が異なる。用語集で詳しく、独立した音楽家も提訴している。学習がフェアユースフェアユースFair Use米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。用語集で詳しくに当たらないと判断されれば、権利者は過去と将来の利用を対象とするライセンスライセンスLicensing一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。用語集で詳しく契約を求める足場を得る。一方、巨額の損害賠償損害賠償そんがいばいしょうDamages契約違反などによって生じた損害を金銭で補うこと。本件の争点は、請求できるかだけでなく、将来収入や残るメンバーの活動を金額にどう反映するかにある。用語集で詳しくに至る不確実性もあり、一部のAI企業はすでに契約に動いているという。
司法省は、許諾を必須にすると、料金を払える大手技術企業と、大量の出版物を持つ既存メディアが有利になると主張した。これは政府側の政策的な見方であり、許諾市場の実態がそうなると確定したわけではない。創作者への対価だけでなく、開発に参入できる企業の範囲まで、議論に持ち込まれている。
CMUは、前年のAnthropicとMetaの訴訟では、書籍著者による侵害請求に対しフェアユースフェアユースFair Use米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。用語集で詳しくの抗弁が認められたと伝える。ただしMetaの訴訟では、著作物の市場価値への影響を著者側がより適切に主張していれば、結論が変わり得たと裁判官は指摘したという。学習利用全般が無条件で認められた、という話ではない。
ここで重要なのが、市場価値の希薄化市場価値の希薄化しじょうかちのきはくかMarket dilution競合する作品や生成物の供給によって、既存作品の市場価値が薄まること。米国のAI訴訟では、個別作品の代替を超える影響まで考慮できるかが争点となる。用語集で詳しくである。Metaの訴訟で示された考え方では、生成物が学習元と同じ種類の作品に広く競合することも、損害として論じ得る。対して司法省は、OpenAIの出力が新聞記事の代替となり、相当な代替的競争を生むことを示す必要があると主張した。同じジャンルに属するだけでは足りず、ジャンル自体は著作権著作権ちょさくけんCopyright楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。用語集で詳しくで保護されないという立場だ。
音楽では、似ていなくても分配に触れる
この違いは音楽で輪郭を持つ。CMUが例示するのは、AI生成曲がSpotifyの有限の使用料原資から取り分を得て、人間が作った楽曲への支払いを減らす場合だ。学習元の曲を直接まねていなくても、収入の面では競合し得る。ただし、これは損害を説明する仮説であり、その因果関係や法的評価が裁判で確定したという意味ではない。
この時点から1〜3年の焦点として見えるのは、曲の類似性に加え、市場全体の収入への影響をどう立証するかという論点だ。カテゴリー単位の競争を考慮するなら、個々の出力と元作品の比較だけでは捉えにくい影響も争点になり得る。司法省の立場が採られるなら、特定の作品を代替する証拠の比重が増す可能性がある。
その違いはライセンスライセンスLicensing一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。用語集で詳しく交渉にも関わる。許諾なしの学習がどの条件で認められるかは、対価を求める側と支払う側の交渉の前提になるからだ。ただし、書籍や新聞をめぐる判断が、そのまま音楽に当てはまるわけではない。CMUも、文章の訴訟で成功した抗弁が音楽でも通るとは限らないと留保している。
日本から見ると、結論よりも問いの単位
日本から読む際、まず分けたいのは、米司法省の意見と司法判断、そして米国法の枠組みと日本での扱いである。この出典は日本の法制度や契約実務を比較していない。米国で政府が支持したという事実から、日本でも同じ利用が認められるとは読み取れない。
それでも、観察できる問いはある。特定の曲が複製されたかという単位と、生成曲が同じ収入源を分け合うかという単位は異なる。9月初めに表面化したのは、そのどちらを著作権著作権ちょさくけんCopyright楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。用語集で詳しく上の損害として捉えるかという対立だった。AIと音楽の関係は、似ているかどうかだけでなく、誰の市場にどう参加するのかという言葉でも語られ始めている。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年9月3日(木))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次CMU(Complete Music Update)2026-09-04
“And for the music industry, just because a fair use defence works in cases involving the written word, it doesn’t necessarily mean that that defence can’t be defeated in music cases.”
そして音楽業界にとって、文章に関わる事件でフェアユースの抗弁が通るからといって、音楽の事件でもその抗弁を退けられないとは限らない。
確認日 2026-10-18


