1–3 YEARS · シーンと言説の潮流AI生成音楽著作権の再発明
学習の前にある複製の出どころ
Suno訴訟、YouTubeからの音源取得も争点に
UniversalとSonyによるSuno訴訟で、YouTubeから音源を取得した方法を問う主張の追加が認められた。AI学習が著作権上許されるかだけでなく、その手前でデータをどう集めたかが争点になる。2026年8月末に見えたのは、学習行為と入手経路を分けて問う訴訟の組み立てである。

学習の手前に、もう一つの争点
AIに音楽を学ばせることと、そのための音源を手に入れること。この二つを分けて問う動きが、Sunoをめぐる訴訟で具体化した。2026年8月末、Universal MusicとSony Musicは、YouTubeからの音源取得に関する主張を加えた修正訴状を提出した。CMUが報じている。
両社が問題にするのは、配信されている音声を抽出して保存するストリームリッピングストリームリッピングStream ripping配信サービス上の音声や映像を抽出し、ファイルとして保存すること。著作権侵害や技術的保護措置の回避に当たるかは、取得方法や適用法などによって判断される。用語集で詳しくだ。Sunoが学習データ学習データがくしゅうデータTraining DataAIがパターンや特徴を学ぶために使うデータ。音楽では楽曲や音声などが対象になり得るが、個別サービスの収集内容や利用条件は、開示資料などによる確認が必要となる。用語集で詳しくに含まれる録音の多く、あるいはすべてを、この方法で違法に取得したと訴えている。ただし、これは原告側の主張であり、違法性が認定されたわけではない。
担当のF・デニス・セイラー判事は、この主張を訴訟に加えることを認めた。焦点は、YouTubeの技術的な保護措置を回避したかどうか。Sunoは法違反を否定しており、判事も、保護措置と回避に使われたツールの仕組みをさらに検討する必要があるとした。争点として扱えることと、主張が証明されたことには距離がある。
認められた追加、退けられた拡大
今回の追加は、米国のデジタルミレニアム著作権著作権ちょさくけんCopyright楽曲や歌詞などの創作的な表現を保護する権利。出典は楽曲・歌詞・録音の保護と声のブランドを守る試みを区別し、商標を追加の手段として位置づけている。用語集で詳しく法、DMCADMCAディーエムシーエーDigital Millennium Copyright Act米国のデジタル著作権法。ネット上の侵害に対する削除通知や、一定の条件を満たすサービス提供者の責任制限を定め、本件の通知制度の背景となる。用語集で詳しくの第1201条に関わる。判事は、両社の申し立てが同条違反について成立し得る主張だと判断した。録音を無断で複製したかという問いに加え、取得時に技術的保護措置を回避したかという、別の法的な入口が設けられたのである。
この組み立ての背景には、作家らとAnthropicの別件訴訟がある。CMUによれば、その事件の判事は、適法に入手した書籍を出発点とするAI学習について、フェアユースフェアユースFair Use米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。用語集で詳しくに当たると判断した。一方、海賊版の電子書籍を使った問題は残り、Anthropicと作家側の15億ドルの和解につながった。
音楽業界はAI学習がフェアユースフェアユースFair Use米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。用語集で詳しくに当たること自体を争っている。それでも、学習行為についての主張だけに依存せず、素材の取得段階にも違法性があったと示せれば、原告側の論拠は増える。別件の判断がSuno訴訟の結論を決めるわけではないが、入手経路を争う意味を強めている。
一方で、両社が求めた対象曲の大幅な追加は認められなかった。当初の560曲を6万1026曲へ増やす申請である。米国では侵害作品ごとに最大15万ドルの損害賠償損害賠償そんがいばいしょうDamages契約違反などによって生じた損害を金銭で補うこと。本件の争点は、請求できるかだけでなく、将来収入や残るメンバーの活動を金額にどう反映するかにある。用語集で詳しくを求められ、単純な上限計算は8400万ドルから91億ドル超へ膨らむ。ただし、いずれも勝訴や法定の要件を前提とする潜在的な額で、支払いが決まった金額ではない。
判事が追加を退けた理由は、手続きの複雑化と遅延がSunoに不利益を及ぼすおそれだった。訴えの法的な論点を増やすことは認めても、対象作品を一挙に増やすことは認めない。今回の判断には、権利者の請求と訴訟進行の公平さを別々に扱う線引きも見える。
取得経路が契約の論点になる可能性
この時点から先の1〜3年を見るなら、注目点はAI学習の可否という一つの結論だけではない。どこから取得した音源か、どんな手段を使ったか、取得と学習をそれぞれ何が正当化するのか。こうした問いが、訴訟やライセンスライセンスLicensing一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。用語集で詳しく交渉で重みを増す可能性がある。
CMUは、原告側の狙いを、法的な主張と潜在的な賠償額を通じて和解やライセンスライセンスLicensing一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。用語集で詳しく契約を促すことだと説明する。ただし、契約の成立や条件は決まっていない。音源の取得方法を争うことが、将来の利用許諾や事業モデルの変更にどう結びつくかは、なお開かれた問いである。
対象曲についても終点ではない。判事は、追加できなかった作品を別の訴訟で争う道があると認めた。CMUによれば、Sonyは競合のUdioに対する別件で、追加を認められなかった録音を対象に新たな訴訟を起こしている。ただし、Sunoに対しても同じ手順が取られるかは、この時点では未確定だ。
日本から見る、問いの分け方
日本から読む際に区別したいのは、これは米国のフェアユースフェアユースFair Use米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。用語集で詳しくとDMCADMCAディーエムシーエーDigital Millennium Copyright Act米国のデジタル著作権法。ネット上の侵害に対する削除通知や、一定の条件を満たすサービス提供者の責任制限を定め、本件の通知制度の背景となる。用語集で詳しくをめぐる争いだという点である。記事が伝える判断を、そのまま日本での適法・違法の説明に置き換えることはできない。また、この出典だけで、日本の音楽事業者や開発企業の対応状況との比較まではできない。
それでも読み取れるのは、「AI学習は許されるか」という大きな問いの内側に、複数の段階があることだ。学習データ学習データがくしゅうデータTraining DataAIがパターンや特徴を学ぶために使うデータ。音楽では楽曲や音声などが対象になり得るが、個別サービスの収集内容や利用条件は、開示資料などによる確認が必要となる。用語集で詳しくの入手と、その後の利用は同じではない。生成された音楽の権利だけでなく、材料がモデルに届くまでの経路にも法的な検証が向かう。その輪郭が、今回の訴状変更に表れている。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年8月28日(金))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次CMU(Complete Music Update)2026-08-29
“However, for now, Universal and Sony’s stream ripping allegations constitute a “plausible claim for violation” of section 1201 of the US Digital Millenium Copyright Act.”
ただし現段階では、UniversalとSonyによるストリームリッピングの申し立ては、米国デジタルミレニアム著作権法第1201条の「違反について成立し得る主張」に当たる。
確認日 2026-10-18


