1–3 YEARS · シーンと言説の潮流AI生成音楽著作権の再発明
届けるための同意、その先の用途
Google、YouTube投稿規約を音楽AI学習の根拠に
YouTubeに音楽を投稿する際の同意は、音楽生成AIの学習まで認めたことになるのか。2026年6月、Googleは独立系アーティストによる訴訟で、投稿規約が学習を許諾していると主張した。裁判所の判断ではない。見え始めたのは、配信のための契約が、別の制作技術を支える許諾として読み直される動きである。

学習の許可は、投稿時に得ていたという主張
ファンに聴いてもらうために投稿した音楽が、音楽を生成するAIの学習にも使える。その根拠は、新しい契約ではなく、投稿時に同意した利用規約にある。2026年6月11日付のCMUが報じたのは、Googleが訴訟で示した、こうした契約の読み方である。
独立系アーティストらは、自分たちの作品が音楽生成AI生成AIせいせいエーアイGenerative AI学習したデータのパターンをもとに、音声や画像、文章などを生成する技術の総称。音楽では作曲、歌声、演奏など、使われる工程によって役割が異なる。用語集で詳しくモデル「Lyria」の学習に使われたとしてGoogleを訴えている。これに対し同社は、原告らがYouTubeへの投稿によって広範なライセンスライセンスLicensing一定の条件のもとで利用を認めること。声や姿の複製では、誰が何に同意したのかが重要で、楽曲や録音を使う許可とは区別して考えられる。用語集で詳しくを与えており、訴えで問題にされた行為も許されるとして、訴えを退けるよう求めた。
ここで区別したいのは、企業の主張と、裁判所が認めた事実だ。記事の時点で、この規約が学習を認めるという司法判断は示されていない。それでも、音楽を届けるための同意を、別の音楽を作る技術への許諾として扱う論理が、法廷に持ち込まれたことは確かである。
争点はフェアユースフェアユースFair Use米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。用語集で詳しくから契約の範囲へ
Googleが挙げた条項は、投稿されたコンテンツについて、全世界を対象とする非独占的な利用許諾をYouTubeとその関連会社に与えるものだ。追加の使用料を要せず、再許諾と譲渡も可能で、複製、配布、派生作品の作成などを含むという。同社の説明では、関連会社には親会社Alphabetの他部門も入る。
この読み方が認められれば、Googleは対象となる投稿作品の学習について、別途許可を求めたり、対価を支払ったりする必要はない、と主張できる。無断学習をめぐる訴訟でよく使われる、米国法上のフェアユースフェアユースFair Use米国著作権法で、利用の目的や性質などに照らし、権利者の許諾なしでも著作物の利用が認められる場合があるという原則。AI学習への適用は争われている。用語集で詳しくの議論とは異なる道筋だ。許可が不要な利用かではなく、すでに得た許可がどこまで及ぶかを問うのである。
ただし、YouTube上の音楽がすべて同じ契約で扱われるわけではない。CMUは、レーベルや配信事業者には個別の契約があり、その内容は一般の投稿規約とは異なり得ると指摘する。それらの契約が学習をどこまで認めるかは、記事では確認されていない。独立系の音楽家でも、配信事業者経由で作品を届ける一方、自分のチャンネルへ動画を直接投稿すれば、一般規約が関わってくる。
許諾の広さと、学習データ学習データがくしゅうデータTraining DataAIがパターンや特徴を学ぶために使うデータ。音楽では楽曲や音声などが対象になり得るが、個別サービスの収集内容や利用条件は、開示資料などによる確認が必要となる。用語集で詳しくの見えなさ
Googleはもう一つ、原告の作品が実際に学習されたという主張には裏付けがないと反論している。同社の書面によれば、その根拠は、Lyriaの開発期間に作品がYouTube上で公開されていたという点にとどまる。学習に使えたという主張と、実際に使ったと証明されていないという主張が、並行している。
CMUは、Lyriaを開発したGoogle DeepMindが学習用コンテンツを十分に明らかにしていないことを、この立証の難しさと結び付けている。ただし、開示が乏しいこと自体が、特定作品の使用を証明するわけではない。許諾の有無と利用の事実。二つの問題を分けたまま考える必要がある。
この時点から数年を見渡すと、争点が広がり得るのは、生成AI生成AIせいせいエーアイGenerative AI学習したデータのパターンをもとに、音声や画像、文章などを生成する技術の総称。音楽では作曲、歌声、演奏など、使われる工程によって役割が異なる。用語集で詳しくの性能だけでなく、既存の投稿規約が新しい用途をどこまで含むかという契約の領域だ。一般規約と個別契約で学習の扱いが分かれるなら、作品を届ける経路によって、音楽家の立場に差が生じる可能性がある。ただし、この記事だけから他社の規約や契約の有効性まで判断することはできない。
もう一つ問われるのは、契約上の説明と、作り手との関係の整合性である。Googleは音楽業界との責任あるAI開発を掲げてきたとCMUは伝える。広い許諾を得ているという法廷での説明が、作り手にも同じ意味で受け止められるか。法的な判断とは別に、説明の届き方が焦点になっている。
日本から見ると、配信経路も契約の一部
日本から読む際、この報道を「投稿した音楽はすべてAIに使われる」という一般則に置き換えることはできない。舞台は米国の訴訟であり、日本の法制度や、日本向けの規約について判断した記事ではない。日本との制度上の差を確定できる材料も、ここにはない。
一方、読み取れる構造はある。同じサービスに作品が並んでいても、配信事業者を通した提供と、本人による直接投稿では、関わる契約が異なり得る。見えている兆しは、公開された音楽が一律に自由な学習素材になることではない。音楽を聴き手へ届けるための契約が、その先の制作技術にも使える許諾として解釈され、争われ始めていることである。
この記事は、2026年10月に、当時(2026年6月10日(水))の出典をもとに書いた振り返りです。数字や状況はその後変わっている可能性があります。
EVIDENCE出典
- 二次CMU(Complete Music Update)2026-06-11
Google says any music uploaded to YouTube is fair game for AI trainingcompletemusicupdate.com ↗
“the only basis for this allegation is that their works were available on YouTube during the period Google developed Lyria”
この主張の唯一の根拠は、GoogleがLyriaを開発していた期間に、彼らの作品がYouTube上で公開されていたということだ
確認日 2026-10-18


