物質文化は、人びとが作り、使い、受け継いできた物を通じて、生活や社会、価値観を捉える概念である。美術作品に限らず、日用品や儀礼の道具、建造物なども対象になり得る。物は、形や素材だけでなく、使われた場所や人との関係を持っている。
博物館に収められた資料では、その制作と使用の歴史に加え、どのような経緯で移動し、収蔵されたかも重要になる。法的な所有、搬出時の同意、展示で用いる呼称は、関連するが別々に検討される論点である。
日本から海外の収蔵品を考える場合にも、現在置かれている場所だけで、その資料と地域社会との関係を説明し切ることはできない。ただし、個別資料の取得経緯は記録に即して確認する必要があり、今回の書簡にある告発を、すべての収蔵品について確定した事実として扱うことはできない。
NARROWERこの用語の下にある用語
- PVCPolyvinyl chlorideポリ塩化ビニルの略称で、レコードの材料に用いられる樹脂。回収した盤を材料に戻せば未使用樹脂の投入を減らせるが、再処理にも資源やエネルギーを要する。
- アサンブラージュAssemblage既製品や日用品、断片的な素材など、異なる物を集めて組み合わせる立体的な表現。物が持つ用途や記憶を残しながら、新しい関係や意味を生み出す。
- ガンビアーハGambiarraあり合わせの材料や仕組みを使った、その場しのぎの構造や工夫を指すポルトガル語。美術の批評では、不完全な組み立てが生む表現を捉える言葉にもなる。
- スクリーンプリントScreen Printing細かな網目を持つ版の一部をふさぎ、開いた部分からインクを通して刷る技法。色ごとの版を重ねることで、鮮明な色面や複雑な色の表現をつくる。
- 気候適応きこうてきおうClimate adaptation気候の変化やその影響に合わせ、被害を抑えるために管理や仕組みを調整すること。庭園では、水の供給方法や植える植物の選定などが関わる。1
- 工芸こうげいCraft陶、繊維、木などの素材と技術に関わる表現領域。実用品から現代美術まで幅があり、何を工芸として収集・展示するかは美術館の方針とも関わる。1